Wired Vision連載

「キャラクターのランドスケープ」 http://wiredvision.jp/blog/odagiri/200811/200811051200.html というのをはじめました。すでに1回目公開されてます。 「月2回くらい更新しようかなあ」という予定。 ここは基本的に更新しない場所なので多少客寄せにな…

幼年期の終わり

このNewsramaのシリーズ記事ではBen Dunnのスーパーヒーローコミックスとマンガの融合に向けた(不毛な気もする)情熱がよくわかる「The Changing US Manga Scene: Remembering When West Has Met East」なんかも相当おもしろいが、やはり結論にあたる「The …

講談社USAの影響

こうした「MANGA」を巡る環境の変化を講談社USAの立ち上げにあわせてまとめたBenjamin Ong Pang Keanによるシリーズ記事がアメリカの大手コミックスニュースサイトNewsaramaに出ている。 「The Kodansha Fallout: More Manga Changes?」 「The Kodansha F…

「グラフィックノベル」としてのマンガ

『Publishers Weekly』の「Comics Week」を読んでいて青林工藝舎『アックス』のアメリカ版発売のニュースを知った(発売元はTop Shelf)。先週届いたアマゾンでも買えるようになった『The Comics Journal』#292の林静一『赤色エレジー』のアメリカ版(こちら…

おまけ

久生十蘭に関連した小ネタとして先日ここ経由でこんな話を知ってちょっとおかしかったのだが、『新西遊記』については橋本治が編んだ国書刊行会の日本幻想文学集成12巻『久生十蘭:海難記』の編者解説に非常に示唆的な記述がある。 『新西遊記』はこの部分だ…

「定本 久生十蘭全集」刊行開始

久生十蘭オフィシャルサイト準備委員会:久生十蘭の仕事部屋から(49) http://blog.livedoor.jp/hisaojuran/archives/51386995.html 歿後五十年記念出版 小説をはじめエッセーや翻訳等、全作品を殆ど収録した全集 旧全集(三一書房版)の約2倍の分量 ● 第…

コミックス研究の誕生

このブログの作者Jeet Heerは新聞や雑誌などに発表されたマクルーハンやウンベルト・エーコといった著名な言論人によるコミックス論を集めたアンソロジー『Arguing Comics』の編者のひとりであり、12月に発売予定の『A Comics Studies Reader』の編著者のひ…

英米の研究動向の整理

で、本来それをやっていてしかるべき人間が欧米の研究の存在すら知ろうともしないから仕方なく個人で試行錯誤を続けてきたわけだが、最近ようやく英米のコミックス研究の流れについて少しずつ目鼻がついてきた。 その重要な成果のひとつが論文での引用頻度な…

海外のコミックス研究を知る必要性

今夏フランスのコミックス研究者、ティエリ・グルンステンの著書『線が顔になるとき―バンドデシネとグラフィックアート』(古永真一訳、人文書院刊)の翻訳が発売され、続いて近い将来同じ著者によるより包括的な研究書『マンガのシステム』の翻訳も刊行が予…

知人の災難や「知識」に関連する偏った感慨

都筑道夫の短編集『袋小路』(徳間文庫刊、1993年)に「悪役俳優」という作品が収録されている。 ネタを割ることになるのでどういう話かは説明しないが、主人公は以下のような人物だ。 雨宮雄一郎は、敗戦後まもなく、芸能雑誌の記者になって、映画の記事を…

Péterfy Bori & Love Band『Hajolj bele a hajamba (Labamba)』

やっぱこれはおもしろいわ。 おそらくここを覗くひとの九分九厘までがまったく興味がないと思われるこのハンガリーシリーズだけど、調べれば調べるほどハンガリーのポップカルチャー状況はおもしろい。 歴史的には89年の共産主義崩壊による体制変更があって…

ジャパニーズポップカルチャーとの関連

『Record Straight』のPVを見てもらえばわかると思うが、このビデオあきらかに日本のヒーローもののアニメやマンガの文法を意識してつくられている。特にEniko Hodosiがトリポッドもどきに殴りかかる辺りの一連のシーケンスは完全にそうだが、どうもこのハ…

Neo『Record Straight』

実験的な色彩も強いZAGARに比べるとこのNEOというバンドの音楽性はよりロック寄りでポップなものだ。最新の音源はマキシシングル『Spellbound』になるのだが、ジャミクロワイみたいなファンクナンバーの同曲ではなく個人的な好みと後述する日本のポップカル…

価値判断の留保

私はここまでマンガとそれ以外のもの、それは戦争でも、アメコミでも、表現規制でもなんでもいいが、その間の関係性を論じる場合に当然問題系の設定に応じて必要とされる知識、情報があるはずだと繰り返し述べてきた。だが、そのような必要条件として求めら…

紙屋高雪への疑問

じつは私が紙屋に対して感じる違和感もほとんどこれと同じ点にある。 夏目は漫画批評について、「単純な社会反映論」という謂いで社会反映論そのものを否定する身振りをとってきたが(最近はそうでもないが)、ぼくは、漫画批評には社会反映論というモメント…

表現論の限界

で、肝心の伊藤剛と紙屋高雪の話だが、私自身は双方に対して「それなりに」批判的である。 まず伊藤剛だが、伊藤個人に対する批判は身も蓋もないヤツは『ユリイカ』でも書いたし、より矮小なレベルでは本人に直接いってるのでここでは繰り返さない。むしろ私…

先行する言説状況の参照

個人的な感想を述べれば、今回のユリイカの特集に感じる不満もこの点にある。「マンガ批評の新展開」と銘打ちながら、そこにはマンガ批評言説の過去と現在の状況が明示的に示された全体の見取り図に当るテキストがないのである(この点は前回の特集「マンガ…

「マンガ批評の新展開」のアングル

私見では件の『ユリイカ』「マンガ批評の新展開」で「表現論vs社会反映論」の図式が出来上がった背景にはこれと前後してネット上でおこなわれた『思想地図』1号掲載の伊藤論文「マンガのグローバリゼーション」(とそれを遡ること2年半前のユリイカの前マ…

紙屋研究所と伊藤剛

はっきりいってマジャール語の解読してるほうがはるかに楽しいんだが、石のほうも一段落するはずなので、いちおう義理を果たしておく。

マジャール語対策

よっしゃ、『webforditas.hu』の「Hungarian-English translation」と『MTA SZTAKI』の「Hungarian-English Online Dictionary」の組み合わせで短い文章なら「なんとか意味わかる」トコまでいけそう。しかし、各種翻訳サービスの整備のされ方見ると、この言…

ZAGAR「Wings of Love」

YouTubeでいろいろ音源を検索していてハンガリーのエレクトロニックミュージックのシーンが非常に熱いことをはじめて知った。おもしろそうだと思っていろいろ情報を検索したのだが、この辺に関しては日本語の情報が全然ない。頭にきたのでこのシーンとそれを…

ふたつのモーメント

でまあ、ここまで書けばおわかりだと思うが、私はこの特集で結果的に構築されている「最近になって表現論と反映論の対立が起きてきた」というプロレスでいう「アングル」はまったく根拠のない無責任な虚構だと思っている。それが短絡的、もしくは素朴である…

「マンガ批評の新展開」の話

知ってるひとは知っている話で、この箱の中味を書いているのは小田切博とかいうひとなのだが、その人物が寄稿したので届いた『ユリイカ』6月号「マンガ批評の新展開」をざっと読んだら一冊全体で「表現論vs社会反映論」という図式のある特集になっていて、無…

共同通信のジョジョ問題に関する記事について

以下に書くことは23日付のエントリでも指摘していることなのだが、あまり問題にもされていないようなのでよりはっきりしたかたちで改めて書く。 この件に関して現時点でもっとも問題だと思われるのは集英社の対応でもイスラムからの反応でもなく、大元のソー…

ジョジョ話に関する英語報道

完全に日本の話なのに案の定英語報道からのほうが得られる情報が多い。 現時点でもっともまとまっていていろんな意味でわかりやすいと思ったのが「東京で出されている」英語紙『Japan Today』の記事。これはコメントも含めてちゃんと読むとこの事件がどう見…

ジョジョとムスリム

……いやだなあ、こんな脳が腐りそうな話に関わるのは。 しかし、ムハンマド風刺画問題について書いたら直後に暗殺未遂犯逮捕されて一斉再掲載されたし、たまたま昨日ひとのブログで風刺画事件絡みでコメントしたら翌日こんなニュースが届くんだから、これは書…

アメリカの警察や検察は暇だとしか思えない

永山さんと昼間さんの『マンガ論争勃発のサイト』の「(財)日本ユニセフ協会インタビュー【第3回】アメリカ司法省「警察はそれほど暇じゃない」」から −−単純所持禁止の問題についてはどうお考えでしょうか? 例えば警察による恣意的な運用が行われること…

ブラジル人カートゥーニストによるガザ虐殺への抗議イメージ

http://latuff2.deviantart.com/ 以下はアーティストからのこのイメージに関するコメント オリジナルは http://latuff2.deviantart.com/art/Spread-the-word-share-this-art-78975218 このイメージを見たすべてのひとにお願いします。イスラエルのパレスチナ…

コメント

韓流好きなリフレ派 「本来」どうあるべきか論=「原理論」というのは、東氏はより一段深い抽象といっているけれども、これは「べき論」としての価値規範の問題であって、とりあえず彼が二次的といっている実証的な話とはただ単に話題の次元が違うだけでどち…

『不謹慎な経済学』田中秀臣(講談社刊)

以下はmixiで書いたレビューだが、田中先生ンとこで言及されてしまったので、向こうの意味がわかるようにこっちにも加筆修正のうえ移植。 なんで田中先生からオレなんぞに献本が来るのかはこの辺を参照。>ここから なぜか献本いただいた本。 パリス・ヒルト…