ジャパニーズポップカルチャーとの関連

『Record Straight』のPVを見てもらえばわかると思うが、このビデオあきらかに日本のヒーローもののアニメやマンガの文法を意識してつくられている。特にEniko Hodosiがトリポッドもどきに殴りかかる辺りの一連のシーケンスは完全にそうだが、どうもこのハンガリーのエレクトロダンスシーンは全般的にアニメやマンガといったポップカルチャーの影響下にあるようだ。これは必ずしも日本のものに限らずたとえばNeoの『Everybody come on』のビデオはパワーパフガールズのオープニングの引用からはじまっていたりするのだが、ZAGARが『Taste of Snow』で唐突に怪獣の鳴き声をサンプリングしているのを見てもなんだか知らないけど親和性は高そうだ。NEOなんかライブで「Japan is No1」という曲をやっているくらいである。
この点で興味深いのはWikipedia「Music of Hungary」の項目によれば1999年にFerenc Kömlődyという人物の手になる『Fénykatedrális(Light Cathedral、光の聖堂という意味らしい)』というハンガリーのエレクトロダンスミュージックの歴史を論じた書籍が出版されているようなのだが、このFerenc Kömlődyがハンガリー版『攻殻機動隊』DVDの発売に関わっているらしいのだ。もともとテクノやハウスとSFやサイバーパンクは親和性が高いので不思議ではないといえばないのだが、もと共産主義国で日本ではほとんど現地のポップカルチャー状況がわからない東欧の国ハンガリーでのこうした日本産ポップカルチャーの受容と影響は純粋に興味深い。個人的に東欧からロシアにかけてののコミックス文化は謎だったのだが、どうもハンガリーには独自のコミックス文化の伝統もあるらしい。その辺も調べてみたい。